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公開日:2021.05.11  最終更新日:2022.05.30

食品工場の暑さ対策4選|適切な温度環境・熱中症対策のポイント

食品工場で働く労働者は、全身をユニフォームで覆われているため、季節や作業内容によっては、作業中に暑さを感じたり熱中症が発生したりする場合があります。食品工場の責任者の立場にある人にとっては、労働環境整備のために、適切な暑さ対策を実施したいと考えているでしょう。

そこで今回は、食品工場の適切な温度環境から、食品工場で実施可能な暑さ対策、熱中症を防ぐためのポイントまでを解説します。あらゆる生産工場の中でも、食品工場は特に温度管理が重要です。食品の品質を保ち、労働者が安全で快適に働ける環境を構築するために、ぜひ参考にしてください。

1.食品工場の適切な温度環境は?

食品工場は、下記の理由から他分野の生産工場よりも温度・湿度の適切な管理を行うことが重要です。

  • 労働者の健康管理
  • 作業効率・作業確度の向上
  • 食品の品質・安全管理

食品工場の適切な温度環境は、取り扱う食品により異なりますが、品質低下や食中毒を防ぐために、一般的には20℃以下に保つように設定されています。ただし、生鮮食品を扱う食品工場では、5℃前後と低めに設定されていることが一般的です。

暑すぎると、労働者の心身に加わる負担の増加や、食品の品質低下のリスクを招く恐れがあります。そのため、食品工場の温度環境は、食品の安全を担保しつつ快適に作業が行える温度を保つことが非常に重要です。

2.食品工場で実施可能な「暑さ対策」4選

ここでは、食品工場で実施可能な暑さ対策について解説します。大きな効果が期待できる具体的な方法としては、下記の4つが挙げられます。

○ビニールカーテンを使用する

空気の循環をコントロールして空調効率を高めることができる。

○送風機を設置する

工場内にこもった熱い空気を循環させることができる。

○保冷剤をポケットに入れる

冷たい保冷剤で直接身体を冷やすことで体温を下げることができる。

○涼しい作業着を導入する

通気性や透湿性に優れたユニフォームを導入することで暑さを軽減できる。

それぞれの対策について、ここでは詳しく解説します。

2-1.ビニールカーテンを使用する

食品工場での作業中に暑さを感じる場合は、空調効率が悪いという原因があります。冷房を効かせても冷やした空気が逃げていたり、作業スペースが広すぎたりすると、あまり効果を期待できません。

そこで、おすすめの方法が、ビニールカーテンを導入して作業スペースを囲むことです。不要な空気の移動をビニールカーテンで制限することで、空調効率を高めて快適な室温を保つことができます。また、空調効率を高めることで、電気代の節約にも繋がります。

ビニールカーテンは安価なコストで簡単に導入できるため、食品工場の空調効率が悪い場合は検討してみることをおすすめします。

2-2.送風機を設置する

食品工場は外部から密閉されており空気の循環が悪いため、熱がこもりやすい空間です。そのため、食品工場内で作業を行っていると、暑さを感じるだけではなく熱中症となる恐れがあります。

そこで、おすすめの方法が、工場内に送風機を設置することです。送風機で風を送ることで、熱がこもった空気を循環させて室内環境を快適に保つことができます。また、工場内作業で汗をかいている場合は、送風機の風が汗を蒸発させて効果的に体温を下げることも可能です。

送風機を選ぶ際には、工場内作業の妨げとならないように、音が静かでコンパクトな送風機で、風量を調整できるタイプを選びましょう。近年では静音性や節電性に優れた業務用送風機が数多くリリースされているため、暑さ対策や熱中症対策の必要性がある食品工場では、導入をおすすめします。

2-3.保冷剤をポケットに入れる

食品工場で暑さを感じる大きな原因として、衛生面や安全面の理由から長袖長ズボンのユニフォーム・帽子・マスクを着用していることが挙げられます。全身が覆われているため通気性が悪く、多少空調を効かせても熱が服の中にこもってしまいます。

どうしても作業中に暑さを感じたり熱中症の心配があったりする場合は、ユニフォームの中に保冷剤を入れて、直接身体を冷やすことがおすすめです。原始的な方法ですが、冷たい保冷剤を身体に当てることで、体温が下がります。

ただし、保冷剤は温度が非常に低く、長時間同じ場所を冷やし続けると低温やけどや凍傷の恐れがあるため、気を付ける必要があります。暑さを強く感じる夏季の作業や加熱式調理器具を使う作業など、空調を効かせても暑さ対策として効果がない場合は、ぜひ保冷剤の使用を検討してみてください。

2-4.涼しい作業着を導入する

食品工場で労働者が着用するユニフォームは、同じような見た目でも使用されている素材によって通気性や涼しさが異なります。

近年では、涼しさを重視したポリエステル製のユニフォームや麻が配合されたユニフォームが販売されているため、暑さ・熱中症対策を検討している場合は導入をおすすめします。

暑さ・熱中症対策で涼しい作業着を導入することは、厚生労働省の「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」においても推奨されています。

  • 熱を保ちやすい服装は避けて、透湿性・通気性の良い服装を準備する
  • 身体を冷却する機能を持っている服の着用も検討する
  • 通気性の良い帽子やヘルメットを着用する

出典:厚生労働省「令和3年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施要綱」

ユニフォームは毎日着用するため、涼しいユニフォームを導入することは、暑さ・熱中症の基本的な対策となります。ユニフォームの機能性をチェックして、より涼しいユニフォームがあれば、ぜひ導入を検討してください。

>>通気性のある食品工場用白衣の一覧はこちら

3.工場作業は「熱中症発生者」が多いため注意が必要!

令和3年に制定された厚生労働省の資料「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」によると、令和2年における熱中症の発生状況は死傷者919人となっていました。

熱中症の業種別発生状況を見てみると、「建設業201件」「製造業190件」と発表されており、死者数では製造業が最も多くの事例が確認されています。

出典:厚生労働省「令和3年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施要項」

食品工場は厳密には製造業ではありませんが、同じ生産工場として作業環境が類似していることから、十分な熱中症対策が必要であると考えらえます。

3-1.食品工場で熱中症を防ぐためのポイント

ここでは、食品工場で熱中症を防ぐためのポイントについて解説します。夏の暑い時期を迎える前には、食品工場においては暑さ対策と同時に、熱中症対策に取り組むことが非常に重要です。食品工場の責任者やマネージャーの人は、ぜひ参考にしてください。

食品工場内のWBGT値を把握する
熱中症対策の最初のステップは、現状把握です。熱中症対策の現状把握には、WBGT値(暑さ指数)と呼ばれる熱中症予防を目的として開発された指標を使用します。

専用のWBGT指数計を用いて、食品工場内のWBGT値をくまなく調査することで、熱中症が起こりやすい場所や、環境を改善すべき場所を把握することができます。WBGT値の把握は熱中症対策の基本となるため、必ず実施しておきましょう。

休憩場所を確保する
食品工場は、業務性質上さまざまな暑さ対策・熱中症対策を行っても、ある程度の身体への負担はやむを得えません。そのため、工場内には冷房などを備えた涼しい休憩場所を設けることが重要となります。

作業中の暑さで労働者が負担を感じた際には、いつでも適切な休憩が取れるように、環境の整った休憩場所を必ず設置するようにしましょう。

熱中症対策の研修を実施する
熱中症対策は、事業者側が各種の対策を実施することも重要ですが、労働者にも熱中症対策の知識を持ってもらうことも重要です。

研修を実施して、熱中症対策の知識・作業中に注意すべき点・緊急時の対応などを、食品工場で働く労働者に周知することが必要となります。事業者側・労働者側の双方が熱中症対策について意識することで、熱中症の発生や重篤な事故といったリスクを低減することが期待できます。

まとめ

食品工場は、着用するユニフォームで全身を覆うことや、密閉された環境下で作業を行うことから、暑さ対策・熱中症対策を実施することが非常に重要となります。夏の暑い時期に作業を行う場合や、加熱調理器具を使用する場合は、特に注意が必要です。

食品工場の暑さ対策には、大きく分けて工場内の環境を整える対策と労働者が着用するユニフォームに対して行う対策があります。現在の状況を考慮して、低コストで簡単に実施できる対策から取り組んでいくことをおすすめします。

責任者の立場にある人は、労働者が安全で快適に作業できるように、ぜひ暑さ対策・熱中症対策に取り組んでください。

なお、食品工場での温度管理に関しては、以下の記事で「寒さ対策」についてもご紹介しています。

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