厨房内では火を常時使用することから、厨房の暑さが外気以上となるケースは珍しくありません。キッチン担当者の安全性や衛生面にかかわるため、重点的な対策が必要となります。
厨房の暑さに対する第一の解決策として、高機能の空調設備を導入する方法が挙げられます。しかし、コストがかかるうえ施工のために休業しなければならないため、気軽にできる方法ではありません。
今回は、手軽に実践できる厨房の暑さ対策を解説します。熱中症を防ぐポイントも解説するため、飲食店の店長や経営者の方は参考にしてください。
1.厨房の暑さ対策5選|環境面から従業員の取り組みまで
厨房の暑さ対策を進める方法には、主に下記の5つが挙げられます。
- 涼しい制服やコックコートを導入する
- 排気設備を確認する
- グリスフィルターの清掃を行う
- スポットクーラーを設置する
- 濡れタオルを巻く
火を使う以上、厨房内で熱の発生を避けることは不可能です。しかし、工夫次第で熱を適度に逃がしたり、緩和したりすることができます。
ここでは、厨房の暑さ対策について解説します。
1-1.涼しい制服・コックコートを導入する
コックコートは火を扱うことを前提に製造されているため、耐火性や耐熱性に優れている一方、通気性が良いとは言えません。
熱い厨房内でコックコートを着用して作業し続けると、衣服の内部にこもった熱が逃げにくく、熱中症を引き起こしやすくなります。インナーに吸汗速乾性の高いものを選ぶほか、コックコート自体を通気性の良いものに変更しましょう。
涼しい制服やコックコートを選ぶときのポイントは、麻・ポリエステルを使用しているものを選ぶことです。
天然素材の麻は肌に優しく、速乾性に優れていることから、湿気や熱がこもりにくいことが特徴です。ポリエステルは吸湿性や通気性が期待できない一方、速乾性に優れている素材です。汗をかいても濡れたり肌に張り付きにくく、暑い厨房でも汗でべたつきにくくなります。
こちらの記事では夏にぴったりの涼しい生地を5つ解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
1-2.排気設備を確認する
厨房で発生する熱を逃がして快適な温度に近づけるためには、給気・排気がスムーズに行われているか、排気設備を確認することが重要です。給気とは厨房内に新鮮な空気を供給すること、排気は厨房内の空気を外へ排出することを指します。
給気は窓の開閉などで自然に発生している自然給気のほか、空調設備で人工的に湿度調節した空気を供給する方法があります。空調設備は天井に設置されているパターンが一般的です。
排気も複数の方法があり、換気や排気ダクト、排気設備の活用などが挙げられます。換気は自然給気と同じく窓の開閉などで発生しており、排気ダクトの場合は、給気によって厨房内の空気がダクトへ押し出されることで入れ替えられています。排気ダクトは厨房のコンロ上部に取り付けられており、ファンやフードなどの排気設備を介して外へ排出するものです。
1-3.グリスフィルターの清掃を行う
排気設備の確認とともに、グリスフィルターの確認や清掃も必要です。グリスフィルターとは排気設備の入り口部分に設置されているもので、厨房の空気に含まれる油脂が外部へ排出されないよう取り除く働きをもっています。
そのため、使用する時間が経つごとに汚れが発生し、放置すると目詰まりを起こします。グリスフィルターに目詰まりが生じると、そのほかのファンなどに問題がなくとも、スムーズな排気が行えません。
排気を確保するためにも、グリスフィルターは定期的な清掃が必要です。また、清潔な厨房を維持するためにも、基本的に毎日掃除することを心がけましょう。
1-4.スポットクーラーを設置する
厨房全体を冷やすことは難しいものの、スポットクーラー(スポットエアコン)を設置して、冷気を必要な部分にのみ当てることはできます。
スポットクーラーとは、床置き型の小型空調機器です。販売価格が安く、狭い調理場でも場所をとりません。壁に固定しないタイプのため、自由に移動させて冷たい空気を任意の場所に当てることができます。
スポットクーラーは冷風が出る一方で、本体背後から排熱することが特徴です。スポットクーラーを導入する場合、扇風機と異なり調理場全体を冷やすものではない点は理解しておきましょう。
1-5.濡れタオルを巻く
即日で実行できる対策のひとつが、フェイスタオルやスポーツタオルを濡らして首に巻くことです。濡れタオルで首回りの皮膚を濡らすと、水分が蒸発するときに周囲の熱を奪うため、涼しさを感じられます。
排気設備の清掃やスポットクーラーの設置と組み合わせると、空気の流れや冷気の影響でより涼しく感じられるでしょう。
2.飲食店で熱中症を防ぐためのポイント
夏場でなくても、飲食店のキッチン担当者は熱中症のリスクに注意しなければなりません。環境省が発表した資料によると、熱中症を引き起こす要因には下記の3つが挙げられます。
- からだ…低栄養や疾病で体調が万全ではない状態など
- 環境…気温や湿度が高い・風がない・日差しが強いなど
- 行動…気温の高い場所での激しい運動や労働など
激しい運動や労働によって体内に熱量が生じたり、気温や湿度が高すぎたりすると、体内に熱がこもってしまい熱中症のきっかけとなります。
ここでは、飲食店で実践できる熱中症対策とポイントを解説します。
2-1.出勤時の体調確認を行う
熱中症は本人の体調が原因となって生じることがあるため、出勤時の体調確認が必要です。熱中症になりやすい体調の特徴として、主に下記の5つが挙げられます。
- 下痢などが原因の脱水症状
- 二日酔い
- 寝不足
- 基礎体力が低い(高齢者・乳幼児・持病ありの方)
- 低栄養状態
体内の熱を外へ逃がすために、人体は発汗という機能を有しています。しかし、上記のような体調不良や基礎体力の低下が生じている状態では、十分な発汗が起こりません。結果、体内に熱がこもった状態が続き、熱中症となる場合があります。
熱中症を生じさせないためには、万全な体調で厨房に立つことが重要です。HACCP(衛生管理にまつわる制度)においても、従業員の健康管理を記録するなどの配慮が求められています。
2-2.こまめに休憩を与える
就業前のチェックで問題がない場合でも、暑い厨房で働き続けると体調が変化することがあります。大きなトラブルが生じる前に、こまめに全スタッフへ休憩を与えましょう。
休憩時は、下記の点を意識するよう指示を出すことが重要です。
- 水分や塩分を補給する
- 涼しい環境で休む
- 濡れタオルなどでからだを冷やす
- 休憩室の風通しを良くする
- 体調不良の場合は無理をしない
暑い厨房で働くと、自覚がなくとも大量の発汗で脱水状態となっています。休憩時は失った水分と塩分を補給し、からだを休めなくてはなりません。
熱中症予防のためには涼しい場所に移動したり、部屋の風通しを良くしたりと、負担のかからない環境でからだを休めることが重要です。
3.暑さ対策ができる制服なら「ユニコレ」がおすすめ
暑さ対策の一環として、コックコートなど制服のリニューアルを検討しているのであれば、飲食店ユニフォーム専門の通販サイト「ユニコレ」をご利用ください。ベーシックな素材に加え、ポリエステル・麻配合で肌触りの良いコックコートも取り扱っており、作業環境に合わせてお選びいただけます。
長袖のほかに半袖タイプや七分袖タイプ、ベーシックなものからスタイリッシュなものまで、デザインも豊富です。一部の商品はカラーバリエーションもご用意しているため、店舗コンセプトと同系統の色もぜひご検討ください。
まとめ
厨房の暑さ対策として効果的な方法は、厨房着の変更や給気・排気設備の清掃など多岐にわたります。いずれも共通している点は、大掛かりな工事を行わずとも、工夫次第で働きやすい環境を整えられることです。
涼しさを感じられる素材のコックコートや制服に買い替えを検討している方は、ぜひデザインや素材の選択肢が豊富な「ユニコレ」へご相談ください。ポリエステル・麻配合の速乾性や吸汗性に優れたコックコートで、快適に働いてもらうことができます。
この記事へのコメントはありません。