アイテムの知識

公開日:2020.04.1  最終更新日:2023.05.30

コック帽が長い意外な理由|歴史や上手なかぶり方についても紹介

コック帽は、飲食店の調理場で働くシェフやパティシエのトレードマークと言えるものです。現在では料理のジャンルに関わらず、多くの料理人がコック帽をかぶっています。

コック帽の特徴は帽子の長さにありますが、なぜコック帽は長いのか疑問に思ったことはないでしょうか。

当記事では、長いコック帽をかぶるようになった歴史上の由来とともに、今でも長いコック帽が採用されている理由を解説します。コック帽を上手にかぶるコツも紹介するため、普段からコック帽を使用している人は参考にしてください。

1.コック帽の歴史とは

料理人がコック帽をかぶるようになったきっかけには、2つの説があります。

(1)アントナン・カレームが最初にかぶったという説
アントナン・カレームは、18~19世紀のフランスで活躍した、シェフ兼パティシエです。現在で言う「有名シェフ」の先駆けとされ、当時は「国王のシェフかつシェフの帝王」と呼ばれるほど、料理界で影響力のある人物でした。

コック帽の由来とされている出来事は、18世紀にアントナン・カレームがレストランで働いていたころの逸話です。

ある日アントナン・カレームは、レストランに来たお客さんがかぶっていた高さのある白いシルクハットを気に入り、その真似をして似たデザインの帽子を厨房でかぶり始めました。当時からすでに名の知れた料理人だったため、アントナン・カレームの名声にあやかろうと徐々に真似する人が増え、次第に料理人による帽子の着用が定着したと言われています。

(2)オーギュスト・エスコフィエが最初にかぶったという説
オーギュスト・エスコフィエは、19~20世紀に料理人として活躍した人物です。フランス料理にコース形式の提供方法を導入したことから「近代フランス料理の父」とも呼ばれ、一部のシェフたちと食通の間では神格化されています。

大柄な人が多い西洋人男性の中で、オーギュスト・エスコフィエは小柄な部類に入っていたことが、料理人がコック帽をかぶるきっかけだと言われています。

オーギュスト・エスコフィエは、160cmに届かない自身の身長にコンプレックスを抱いていました。厨房内で存在感を示すために、それまで使用していたものよりも30cm長い帽子をかぶり始めたことが、料理長の証として次第に広まったと考えられています。

2.コック帽が長い理由

長さのあるコック帽が使われるようになった2つの由来は、どちらも帽子の外見をきっかけとしています。しかし、現在でも長いコック帽が使われているのは、ただ見た目の格好良さだけを受け継いでいるのではありません。

ここからは、今でもコック帽が長い理由を3つに分けて解説します。

2-1.見た目の理由からお客さんに信頼されるため

コック帽が長い理由の1つ目は、料理人がコック帽をかぶることで、お客さんに安心感を与えられるためです。

現在、コック帽は料理人のトレードマークとして世間一般に認識されています。そのため、お客さんが調理場の様子を覗いたときに、料理人がコック帽をかぶっているか否かで、お店に対する信頼度が変わると言っても過言ではありません。
また、正しい方法でコック帽を使用すれば、髪の毛や汗が皿や食品に落ちる可能性も少なくなるため、外見上の清潔感もアピールできます。

「身だしなみを綺麗に整えたプロが料理を作っている」という印象を与えることができれば、お客さんからの信頼度も向上するでしょう。

2-2.衛生面から職場環境を向上させるため

コック帽が長い2つ目の理由は、長さのあるコック帽を着用することで、衛生管理の面でも良い効果が望めるためです。

調理場では火を扱うため、室内温度が40度を超える高温状態になることもあります。料理人が汗をかくだけでなく、熱中症になる危険性もあることから、料理人の暑さ対策は必要不可欠です。

コック帽は長ければ長いほど、帽子内に広い空間を確保できるため、暑い調理場でかぶっていても熱がこもりにくくなります。長いコック帽の天面には空気穴が開いている製品も多く、通気性が確保されており、頭が蒸れることもあまりありません。

料理人が安全かつ快適に働けるような機能性もあることから、長いコック帽は現在でも広く使用されています。

こちらの記事では手軽に実践できる厨房の暑さ対策を紹介しています。ぜひ参考にしてください。

2-3.料理人の地位の高さを表すため

コック帽の長さで料理人の地位を分かりやすく示せることが、コック帽が長い3つ目の理由です。

一般的に、料理人の地位の高さと、コック帽の長さは比例しています。
有名なホテルでは帽子の長さに細かい決まりがあり、料理人見習いは18cm、7年以上のキャリアを積んだ料理人は23cm、料理長以上の責任者なら35cmとなっています。他にも、管理職の帽子の長さは40cmとし、一般の料理人の帽子の長さは一律30cmと定めているところもあります。

しかし、コック帽の役割はただ地位の高さを表すだけではありません。
調理場を見渡したときに一目で責任者の居所を判別できることも、コック帽の長さを変えるメリットです。

3.コック帽の上手なかぶり方

料理人にとって欠かせないコック帽でも、正しい方法でかぶらなければ、長いコック帽の効果を発揮できません。
ここからは、コック帽を上手にかぶるためのコツを紹介します。

なお、大半のコック帽は男女兼用のため、性別によって帽子のかぶり方に差が生じることはありません。

■コック帽がずれないための対策

コック帽は、自分の頭囲に合うサイズを選ぶことが大切です。
コック帽を購入する際は、複数のサイズをかぶり比べてみましょう。


  • ぶかぶかの帽子しか見付からない場合
    バンダナなどを頭に巻いて調節するとよいでしょう。
  • サイズが合っているのに帽子がずれる場合
    ヘアピンやクリップで帽子と髪を固定する方法もあります。布製の帽子であれば、コック帽の内側にバレッタなどを縫い付けると安定感が増します。

■コック帽をかぶるときのコツ

コック帽をかぶるときは、帽子からはみ出る髪の毛が少ない方が理想的です。
髪の毛の長さによってコック帽をかぶるときのコツは異なるため、下記を参考にしてください。


  • ショートカットやボブの人
    前髪が帽子の中にきっちりと収まるように気を付けましょう。どうしても前髪が垂れてくるときは、ヘアピンを使うこともおすすめです。
  • ミディアムやロングヘアの人
    三つ編みや編み込みなど、髪の毛が散らないように束ねると衛生的です。可能であればお団子に纏めてしまうか、ヘアネットで包み込むようにしましょう。
  • 前髪が長めの人
    前髪をサイドに流すかオールバックにセットすることで、清潔感が保てます。カチューシャやヘアバンドを使い、前髪をしっかりと押さえる方法もおすすめです。
  • どうしても纏めきれない場合
    うまく纏められない髪形の場合は、たれ付きのコック帽も選択肢に入れるとよいでしょう。

■髪型が崩れないようにする対処法

コック帽をかぶったときに髪型が崩れないようにするためには、「髪型が崩れても目立たないヘアスタイルにする」「ハード系の整髪料でしっかりと髪を固める」という対処法が有効です。

ただし、正しくコック帽をかぶって仕事する場合、髪型の崩れを防止することはできません。
どうしても髪形の崩れが気になる人は、帽子を脱いだ後に髪をセットし直しましょう。コック帽と接する髪は外にハネやすいため、初めからハネることを想定した髪型にすることも一つの方法です。

4.コック帽の価格相場はいくら?

コック帽の価格相場は、帽子の長さ・素材・サイズによって異なります。
下記は、コック帽の素材別における価格相場表です。

コック帽の素材 価格相場
綿やポリエステル 800円~2,000円
不織布 3,600円~5,500円
(10枚1セット)

綿やポリエステル素材のコック帽は、シンプルなデザインで短いものほど安くなります。プリーツが多いものや帽子の先に膨らみを持たせたもの、長さがあるものは、価格が高くなる傾向にあります。同一デザインであれば、サイズによる値段の差はあまりありません。
マジックテープで調整できるフリーサイズのコック帽や、洗濯して繰り返し使えるコック帽も販売されています。

不織布製のコック帽は10枚1セットがほとんどで、帽子が長くなるにつれて高額となります。多くの商品がフリーサイズで、付属のシールで固定できるため、サイズ調整は簡単です。ただし、洗濯することはできず、汚れた場合は使い捨てとなります。

コック帽と一口に言っても、さまざまな種類があります。コック帽の長さやデザイン、価格を踏まえて、自分に合うコック帽を選びましょう。

まとめ

長さのあるコック帽がかぶられるようになった由来には、2つの有力な説が伝わっています。長いコック帽が着用されたのは、見た目の印象がきっかけでした。しかし、現在は見た目の格好良さだけでなく、お客さんとの関係性や衛生面、スムーズな仕事環境の整備という役割もコック帽は担っています。

ただし、コック帽を正しく上手にかぶるためには、多少のコツが必要です。しっかりと頭に固定してコック帽をかぶることができれば、帽子の持つ性能を十分に発揮でき、お客さんからの信頼も得られるでしょう。

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