水や油を多く扱う職場では滑らない安全靴を使い、事故やケガを防止する必要があります。しかし、「作業用の安全靴を購入しよう」と通販サイトや作業服店を覗くと、さまざまなタイプの商品が目に入り、どの靴を選択するかで悩む人もいるでしょう。
そこで当記事は、滑らない安全靴を購入したい人に向けて、選び方のポイントを説明します。自分自身の職場に適した安全靴を購入し、身の安全を守りたい人は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.滑らない安全靴とは?耐油安全靴との違いも
そもそも「安全靴」とは、JIS規格の安全性や耐久性を満たしており、危険を伴う業務を行う人の足下を保護するために使われる製品です。安全靴の中には耐滑性能を強調し、販売される商品も存在します。
「耐滑性能」とは、水や油による滑り・転倒を防ぐための性能です。潜水時の水に対する耐性を示す「防水性能」とは異なり、水の浸入を防ぐわけではありません。
滑らない安全靴(高い耐滑性能を持つ靴)は、「耐滑安全靴」もしくは「耐滑靴」の名称で販売されることが一般的です。耐滑ソール(耐滑底)を搭載しているセーフティシューズ(スニーカータイプの安全靴)も広い意味では、滑らない安全靴の一種と言えます。
滑らない安全靴の特徴は、靴底に凹凸が見られることです。靴底の凹凸は地面と靴底の間に水が入り込むことを回避し、滑りにくくする役割を果たします。
滑らない安全靴と混同されやすい商品として「耐油安全靴」が存在しますが、用途や特徴が異なることから、使い分けが必要です。「耐油安全靴」とは、油が靴底に付着しても劣化しにくい特徴を持つ靴のことを意味します。
2.滑らない安全靴が使われる環境
仕事用に購入する安全靴の種類は、職場の環境や業務内容に応じて選択する必要があります。滑りやすい環境で作業したり転倒事故が懸念される業務を行ったりするときには、滑らない安全靴を選択しましょう。下記では、滑らない安全靴が使われる職場の環境・業務内容の具体例を紹介します。
●運送業
墜落・転落・転倒などの労災事故に巻き込まれるリスクが高い職場であることから、滑らない安全靴を使うことが必要です。ロールボックスパレット(カゴ台車)を使用する場合、激突・挟まれ事故が発生するリスクもあるため、先芯入りの安全靴を選択することも大切です。
●プレス工場
プレス工場の床にはしばしば、潤滑油・切削油などが付着しています。職場の安全管理に努めるためには、床面の清掃を徹底するとともに滑らない安全靴を着用し、転倒事故を防止する対策が必要です。
●厨房・食品工場
厨房・食品工場は、調理用の油・水を多く取り扱う職場です。水を取り扱う作業が多い職場においては人工皮革製もしくはゴム製で、滑らない安全靴を使うことが推奨されます。大型の厨房・食品工場においては重量物を扱う業務も発生するため、先芯入りの安全靴を使い、足先の安全を守ることも必要です。
●病院・介護施設
病院・介護施設は血液・汚物などによって床が汚れることも多く、転倒事故を起こしやすい職場です。患者や被介護者の安全を確保するためにも滑らない安全靴を使い、転倒事故を防止する必要があります。
上記の他、建設業やビルメンテナンス・清掃業においても、滑らない安全靴が使われます。建設業では雨天の中や不安定な足場の上で作業する業務が発生するため、滑らない安全靴が必要です。ビルメンテナンス・清掃業では水場において作業する機会が発生することから、滑らない安全靴が使われます。
3.滑らない安全靴の選び方の3つのポイント
滑らない安全靴の耐滑性能は、商品の表示から判断を行うことが可能です。JIS規格(日本産業規格)の試験に合格した安全靴の場合、一定の耐滑性能を持つ商品には、「F1」もしくは「F2」表示が付加されます。
F1 | 動摩擦係数(※)0.2以上0.3未満 |
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F2 | 動摩擦係数(※)0.3以上 |
※動摩擦係数:物体が動作している状態における滑りにくさを示す値
JSAA規格(日本保安用品協会・規格)の試験に合格した安全靴(プロテクティブスニーカー)では、動摩擦係数0.2以上の商品に耐滑性マークが表示されます。
その他、厚生労働省産業安全研究所技術指針に定められている耐滑性能区分(※)が商品に表示されている場合もあるので、こちらを参考にしても良いでしょう。
※動摩擦係数0.2以上を区分4(JIS規格F1相当)、0.3以上を最高区分5(JIS規格F2相当)に設定
さらに、滑らない安全靴を選択するときには、商品の表示を確認すること以外にも重要なポイントが存在します。滑らない安全靴を選択するときに注意を要するポイントは、下記3つです。
3-1.最適なサイズの安全靴を選ぶ
サイズの合わない安全靴を使うことは、ケガや事故を引き起こす原因となります。安全靴を選択するときには足長やワイズ(靴の幅)を確認し、最適なサイズの商品を購入しましょう。
通販サイトで安全靴を購入する場合は、他のお客さんのレビューを参照し、情報収集を行うことがおすすめです。海外メーカーの安全靴と日本製の安全靴では、サイズ感が異なることも多いため、注意しましょう。
3-2.最適な素材の安全靴を選ぶ
安全靴の表面には、さまざまな素材が採用されています。職場の環境や自分自身の業務内容に応じて、最適な素材の商品を選択しましょう。下記は、靴の表面に使われる主な素材・その特徴・それに適した職場の対応を示しています。
本革 | |
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特徴 |
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適した職場 |
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合成皮革 | |
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特徴 |
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適した職場 |
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ナイロン | |
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特徴 |
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適した職場 |
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綿 | |
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特徴 |
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適した職場 |
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滑らない安全靴を選択するときには、ソールに使われる素材に注目することも大切です。天然ゴムは弾性・耐摩耗性が高い反面、熱と油に弱い素材に該当します。合成樹脂は軽量で水にも強い反面、熱に弱い素材です。
3-3.耐滑性能以外の要素も考慮する
滑らない安全靴の中には、耐滑性能以外の付加性能を持つなど、機能性が極めて高い商品も存在します。安全靴を選択するときには、業務内容を考慮して必要な付加性能を見極め、条件を満たす商品を購入しましょう。
たとえば、ガラスや釘を踏む恐れのある建設現場で作業するときには、耐踏抜き性能(釘など鋭利なものの貫通を防ぐ性能)を持つ安全靴を選択することが適切です。重量物の積み入れ・積み降ろしを行う人は、耐衝撃性能を持つ安全靴を選択すると安心でしょう。
4.滑らない安全靴の交換目安
安全靴の耐滑性能および付加性能は、一定の期間使い続けることにより、低下します。業務中の事故やケガを防止するためにも安全靴は、定期的に交換しましょう。滑らない安全靴を交換する時期の目安は、トラブルサインが見られたときです。具体的には下記のトラブルが発生したときに、交換を検討しましょう。
- 靴の表面が著しく破れて、かかとがすぐに脱げてしまう
- 靴の表面と靴底の接合部が破れて、歩行しにくい状態である
- 靴の表面が破れて、先芯が露出する
- 靴底が剥がれる・割れる
- 靴底の凹凸を確認できない状態まで、裏面がすり減る
- ボタンなどが脱落し、修理できない状態である
- 「妙に硬い」など、履き心地の変化を実感している
- インソールを取り替えたものの、臭いが残っている
上記の他にも、つま先部分に強い衝撃を受けたときにも、交換を検討する必要があります。つま先部分に強い衝撃を受けると内部が傷つき、先芯の強度が低下するケースもあるためです。
滑らない安全靴の寿命は、3か月〜6か月程度とも言われます。ただし、安全靴の寿命は使う人の体型や体重、業務内容などに応じ、変化することが通常です。使っている安全靴の状態は定期的に点検して、交換すべき時期であるかを判断しましょう。
5.滑りにくい厨房シューズ・コックシューズの購入はユニコレへ
飲食店ユニフォームの通販サイト「ユニコレ」では、厨房・食品工場で活躍するシューズを取り揃えています。
滑りにくさが従来の2.5倍!特殊ソールシューズ
厚生労働省産業安全研究所技術指針に定める耐滑性能最高区分5をクリアした滑りにくい厨房シューズ。軽量仕様となっているため、長時間作業をしていても疲労しにくく、また高いクッション性で履き心地も抜群です。
▲厨房シューズ(ハイパーV)[男女兼用][住商モンブラン製品] H-5000
コスパ良好!滑りにくさと履き心地を備えたコックシューズ
「滑りにくさ」に加え、「快適設計」「軽量設計」が特長のコックシューズ。合皮素材の為水や油汚れにも強く、過酷な環境でも長持ちし、お手入れが楽なのも嬉しいポイントです。
まとめ
「滑らない安全靴」とは、十分な耐滑性能を持ち、プレス工場や厨房・食品工場などで使われる靴のことです。滑らない安全靴を適切に選択することは、冷凍庫内や高所などにおける作業を安全に行うための必須要素と言えます。
滑らない安全靴を購入するときには、サイズ・素材・付加性能に注目し、自分自身の業務内容や職場の環境に適した製品を選択することが大切です。滑らない安全靴の購入後は日常的な状態の確認を怠らず、事故やケガを防止しましょう。
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