アイテムの知識

公開日:2021.12.13  最終更新日:2023.07.28

耐油性のある安全靴の選び方とは?耐油と耐滑の違いも解説!

安全靴の中でも耐油性に優れるタイプは、工場作業のような油脂類が足元に付着する環境で働く人に最適です。ただし、購入するにあたっては種類が豊富ゆえに「どのような製品を選ぶべきか」と悩む場合があります。

当記事では、耐油性のある安全靴の素材・材質を整理した上で、3つの視点から安全靴の選び方を紹介します。また、混同されやすい「耐油性」と「耐滑性」の違いについても取り上げるため、ぜひ購入前の情報収集に役立ててください。

1.耐油性の安全靴が使われる仕事・環境

耐油性のある安全靴は、足元に油脂が飛散し、耐油性の有無が仕事の生産性に関わる現場で使われています。下記は、耐油性の安全靴が使われる業種・環境の代表例です。

・建築

建築現場は重機・建機を使用するために、足元が燃料や機械油で汚れることがあります。油含有汚染土壌の処理を伴う堀削工事は、土と油にまみれる過酷な環境です。耐油性の安全靴は、作業者の足を保護すると同時に靴の劣化を防ぐメリットがあります。

・工場・製造

自動車工場・精密機械の製造では、オイルやグリスなどの油脂類が靴に付くことが多くあります。食品工場においては、植物性油や動物性油の付着を避けることはできません。油汚れを気にせず仕事をする上で、耐油性のある安全靴は欠かせない存在です。

・ビルメンテナンス・清掃

ビルメンテナンスや清掃の仕事では、コンクリート・タイルなどから油を含んだ汚れが染み出てきます。足元は常にベタベタの状態です。作業を円滑に進めるためには、必然的に油汚れに対応できる安全靴が求められます。

・厨房

レストランや飲食店の厨房では、調理時の油はねが足元に及ぶことがよくあります。油が混じった水蒸気にさらされることも少なくありません。耐油性の安全靴は、調理師に快適で衛生的な調理環境をもたらします。

2.耐油性のある安全靴の素材・材質

耐油性のある安全靴は、特定の素材や材質を使用することにより優れた性能を実現しています。一見すると、通常の安全靴と見た目は変わりません。しかし、靴底の「ゴム」や本体の「塗料」は油に強い仕様となっています。

ここでは、安全靴に使用されるゴムや塗料の種類を詳しく解説します。

2-1.ゴム

靴底のゴムには、耐油性だけでなくプラスアルファの性能を持った「合成ゴム」が使用されます。以下は、代表的な合成ゴムの種類です。

・ウレタンゴム

素材としての強度があり、摩耗しにくいことが特徴です。安全靴以外にもタイヤ・ホース・シール材などに多用されます。

・ニトルゴム

安価で使いやすく、耐摩耗性にも優れる素材です。使い捨て手袋の素材として知られています。

・クロロプレンゴム

高い耐油性・耐候性・耐オゾン性を併せ持つ素材です。二次加工しやすいため、幅広い用途に適します。

2-2.塗料

本体の塗料には、複数の原料を合わせた「合成樹脂塗料」が主に使用されます。耐油性の安全靴に使われる合成樹脂塗料の代表例は、下記の通りです。

・フッ素系樹脂塗料
耐候性に優れており、太陽光や紫外線などに強いという特性があります。防カビ性があることもメリットです。

・アクリルシリコン樹脂塗料
耐油性に加えて耐水性と耐薬品性もあり、優れた保護性能を発揮します。塗膜が剥がれにくいことも特徴の一つです。

・フタル酸樹脂塗料
ポリエステル系の樹脂塗料であり、優れた耐候性と光沢のある塗膜が特徴です。「アルキド樹脂塗料」とも呼ばれます。

3.安全靴における耐油性と耐滑性の違い

よく似た名称である「耐油性」と「耐滑性」の違いを理解していないために、求める機能を持たない安全靴を購入してしまうケースは少なくありません。

耐油性と耐滑性では、次のように機能が異なります。

・耐油性とは

  • 油脂類などの物質が長時間付着しても、劣化しにくい性能を指します。表面のひび割れや変形を防ぎ、製品本来の機能を維持できることがメリットです。
  • 同列に扱う「耐水性」が水に対する評価となる一方で、耐油性はさまざまな物質に対する評価となります。耐油性は工業製品を中心に「性能指標」として使用されます。

・耐滑性とは

  • 耐滑性は、靴底が滑りにくい性能のことです。転倒事故を防ぐために、重要な役割を果たします。安全靴の中には、耐油性と耐滑性の両方を持つ製品が多く見られます。
  • 耐滑性のある安全靴は、靴底に凸凹加工が施されていることが特徴です。水や油、ホコリなどの滑りやすい路面を強力にグリップします。

耐油性の安全靴は「滑りにくい靴」ではないため、混同しないように注意が必要です。油の付着が心配な人は、「耐油性」「耐油仕様」と表記のある安全靴を購入しましょう。

足元が滑りやすい環境で使用する人は「耐滑仕様」「超耐滑」などの表示がある製品を選ぶ必要があります。なお、油が付着し、滑りやすい環境で使用する安全靴は耐油性・耐滑性の両方の機能を備える商品を選びましょう。
なお、厨房で利用する耐滑性に優れた靴は、飲食店ユニフォームの通販サイト「ユニコレ」でも取り扱っています。気になる方は、ぜひサイトもご覧ください。

滑りにくい厨房シューズはこちら

4.耐油性に優れた安全靴の選び方

耐油性のある安全靴は、高性能ゆえに販売価格が比較的高価です。むだな買い直しをしないためには、製品の品質を十分に見分ける必要があるほか、使用環境を意識して、素材にこだわることも大切でしょう。

ここでは、耐油性に優れた安全靴選びのポイントを紹介します。

4-1.JIS規格またはJSAA規格の靴を選ぶ

安全靴はJIS規格またはJSAA規格の製品を選ぶことで、納得できる性能が得られます。JIS規格は、日本工業規格が定める品質規格です。高度な安全性や耐久性を持つ証明であり、軽作業から重作業まで安心して使用することが可能です。本来、JIS規格に合格した靴のみが「安全靴」という呼称となります。

また、JSAA規格は日本保安用品協会が定める品質規格であり、JIS規格と同じく高い信用度を表します。JSAA規格の安全靴の正式名称は「プロテクティブスニーカー」です。

なお、規格における審査基準の厳しさは、JIS規格がJSAA規格を上回ります。危険が伴う現場では、JIS規格の安全靴を指定するケースが多い傾向です。

4-2.撥水性も重視するならナイロン素材の靴を選ぶ

油脂だけではなく水滴が飛散するような環境で仕事をする人もいるでしょう。水を弾く「撥水性」も重視したい場合は、ナイロン素材の製品を選ぶことがポイントです。ナイロン素材は、傘やウインドブレーカーなどに使用される撥水素材の代表格です。高密度に織り込まれたナイロンの糸が水滴を弾いてくれるため、快適な履き心地が長く続きます。

通気性に優れる点も、ナイロン素材の魅力です。夏場の炎天下や、高温多湿の場所で安全靴を使用する人にとっては大きなメリットとなります。素材自体が軽量であり、スニーカー感覚で履ける製品も多くあります。

4-3.耐久性も重視するなら本革の靴を選ぶ

「重量物をよく扱う」あるいは「機械部品との摩擦が多い」といった現場では、安全靴にある程度の耐久性が必要となってきます。耐久性を重視する場合は、本革の安全靴を選ぶことがおすすめです。

本革は摩擦や熱に強いという特徴があり、過酷な環境下で使用しても、簡単に劣化することがありません。本革の安全靴は「地味な単色で昔ながらのデザイン」というイメージを持つ人が多いものの、近年はカラフルでスタイリッシュな製品がいくつも登場しています。長く使用できる点を踏まえれば、コストパフォーマンスも良好です。

まとめ

耐油性のある安全靴は建築現場や工場、ビルメンテナンス、厨房などでよく使われます。油脂類の付着によって生じる劣化を防ぐために、靴底と本体には特定の素材や材質を使用することが特徴です。

耐油性のある安全靴を選ぶ際は、JIS規格またはJSAA規格の製品であるかどうかを確認することが大切です。撥水性を重視するならナイロン素材の靴を、耐久性を重視するなら本革の靴を選ぶこともポイントです。用途に合った安全靴を選び、仕事の作業性を高めましょう。

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