飲食店のスタッフや美容師、エステサロンのセラピストなど、エプロンを制服として働く仕事は、数多く存在します。
エプロンなどの作業服は、正しい着方を守って初めて、十分な役割を果たすものです。「エプロン紐の結び方が分からない」といった疑問を放置することなく、正しい知識を身に付けましょう。
<当記事では、エプロンの種類と特徴、エプロン紐の正しい結び方や巻き方について、分かりやすく解説します。身だしなみをきちんと整えて、お客様をお迎えするための基礎知識として、日々の業務の参考にしてください。>
1.紐で結ぶタイプのエプロンの種類
「エプロン」と一口にいっても、形状や身に付け方は様々です。正面もしくは背面で紐を結ぶタイプのエプロンを形状によって区別すると、胸当てエプロン・腰当てエプロンの二種類に分類できます。
胸当てエプロンや腰当てエプロンの特徴と形状別のバリエーションを把握し、仕事内容に応じた商品を選択しましょう。
1-1.胸当てエプロン
胸当てエプロンとは、上半身から膝上までと広い範囲をカバーし、衣服の汚れを予防するエプロンです。紐で結ぶタイプの胸当てエプロンをさらに細かく分類すると、X型タイプ・首掛けタイプの二種類に分類できます。
X型タイプ | |
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概要 | 特徴 |
背中側でアルファベットの「X」を作るように紐を結ぶエプロンです。 紐の掛け方が「たすき掛け」であることから、「たすき掛け胸当てエプロン」といった名称を使用することもあります。 |
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首掛けタイプ | |
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概要 | 特徴 |
肩紐を首に掛け、着用するエプロンです。 肩紐・腰紐が独立した形状で、背中側をすっきり見せることができます。 |
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アルファベットの「H」を作るように腕を通し、着用する「H型タイプ」も、胸当てエプロンの一種です。ただし、H型エプロンは、エプロン紐によって身に付ける方法ではなく、ボタンで留める方法の商品が主流と言えます。
1-2.腰当てエプロン
腰当てエプロンとは、上半身を覆う部分を伴わず、腰から足のカバーを目的としたエプロンです。丈の長さによって呼び名を変えることが多く、ショートエプロン・ミドルエプロン・ロングエプロンといった名称を使用することもあります。
ショートエプロン | |
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長さの目安 | 概要 |
丈下50cm以下 | 腰から膝上程度までを覆うタイプのエプロンです。 「サロンエプロン」といった名称を使用することもあります。 |
ミドルエプロン | |
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長さの目安 | 概要 |
丈下50cm〜65cm程度 | 腰から膝下までを覆うタイプのエプロンです。 ショートエプロン同様に「サロンエプロン」といった名称を使用することもあります。 |
ロングエプロン | |
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長さの目安 | 概要 |
丈下65cm以上 | 腰からふくらはぎ程度までを覆うタイプのエプロンです。 「ギャルソンエプロン」「ソムリエエプロン」といった名称を使用することもあります。 |
その他、酒屋や米屋で着用する「帆前掛け」も、腰当てエプロンの一種です。
腰当てエプロンは、腰紐の調整によって骨盤や下腹部を固定する形状であるため、腰痛防止に貢献します。立ち仕事による腰の痛みや疲労が気になる人は、腰当てエプロンを選択しましょう。
こちらの記事では肩の負担を抑える胸当てエプロンの着用方法や選び方のポイントを紹介しています。首・肩こりに悩んでいる方は、ぜひあわせてご覧ください。
2.エプロンの結び方
胸当てエプロンや腰当てエプロンは、正面もしくは背面で紐を結び、身体のラインに沿うように着用します。代表的なエプロン紐の結び方は、リボン結び・一文字結びの二種類です。
ここでは、それぞれの結び方の詳しい手順や、美しく結ぶためのポイントを解説します。
2-1.リボン結び
リボン結び(蝶結び・蝶々結び)は、左右の紐同士を繋ぎ合わせ、正面もしくは背面にリボンを作る飾り結びの一種です。プレゼントのラッピングや靴紐を結ぶ時など、様々な場面において活用されます。
【リボン結びの結び方】
- ① 背面もしくは正面でエプロン紐の両端を交差させ、固結びを作る。
- ② 下側の紐を折り畳み、輪を作る。
- ③ 輪の上から他方の紐を覆い被せる。
- ④ ②で作成した輪の隙間に対し、被せた紐の一部を折り込む。
- ⑤ 左右対称に形状を整え、結び目のシワを伸ばし、完成。
リボン結びを行う際にとくに大切なポイントは、ステップ②です。ステップ②の輪を上側の紐で作成すると、いわゆる「縦結び」になりやすく、だらしなく見えてしまいます。縦結びに対して「縁起が悪い」と感じる人も存在するため、正しい手順に従い、美しい結び目に仕上げましょう。
2-2.一文字結び
一文字結びは、着崩れを起こしにくく、すっきりとした着こなしを実現できる結び方です。
バーテンダーやソムリエ、日本料理店の板前、ケーキ店のウエイトレスなど、上品で洗練されたイメージを重視する人々から支持を受けます。また、一文字結びは、袴や着物の帯を結ぶ際にも活用される結び方です。
【一文字結びの結び方】
- ① まずはベルトループに紐を通し、固結びを作る。
- ② 下側の紐を上に持ち上げ、固結びを再度作る。
- ③ 左側の紐を持ち、②の結び目方向へと折り畳む。
- ④ ③の紐を中央に置き、右側の紐の端を持つ。左側の紐の下を通し、上方向へと巻きつける。
- ⑤ 紐の余りを内側に収納し、結び目の形を整える。
一文字結びの大きな特徴は、コンパクトな結び目です。垂れ下がる紐による転倒事故を防止し、安全性を高めることができます。
コンパクトな結び目は、フロントポケットから物を出し入れする際に引っ掛かるリスクの回避も可能です。そのため、ホール業務を行う人にもおすすめの結び方と言えるでしょう。
3.エプロンの結び方があたえる影響とは?
エプロン紐を美しく結び、身だしなみを整えることは、飲食店やエステサロン、美容室における接客マナーの一部です。従業員の一人ひとりが身だしなみの重要性を理解し、美しい着こなしを意識することは、繁盛店を作るための必須要素と言えるでしょう。
ここからは、エプロン紐の結び方がお客様にあたえる影響に関して、より詳しく解説します。
3-1.清潔感などの印象
エプロン紐がほどけていたり結び目が雑であったりする店員は、不潔な印象をあたえます。「この飲食店には清潔感を感じない」「不潔な従業員の働く飲食店は不安」などネガティブな口コミが多くなると、店舗経営が成り立ちません。
一旦失ったお客様の信頼を取り戻すためには、多くの時間と労力、広告費が必要です。料理やサービスの質、技術力といった本質的な部分で勝負するためにも、エプロン紐を正しく結び、清潔感ある身だしなみを徹底しましょう。
また、エプロン紐の結び方を誤ると、スムーズな業務遂行が困難です。業務の合間にエプロン紐がほどけると、結び直しを行わなければなりません。1回の結び直しに要する時間は数秒でも、10回や100回通り繰り返すと、軽視できないロスタイムが発生します。
身だしなみの基本ルールは、清潔感と機能性、組織としての調和です。清潔感や機能性を高め、社会人にふさわしい身だしなみを整えるためにも、エプロン紐の正しい結び方を守りましょう。
3-2.統一感による話題性
飲食店では、統一デザインのエプロンを用意することで、メディアの注目を集めたり従業員の士気を高めたりする手法を採用するケースがあります。しかし、従業員ごとに異なる結び方では、狙い通りの効果を得ることが難しく、無駄なコストとなりかねません。
統一デザインのユニフォームの効果を発揮させるためにも、紐の結び方や着方の統一ルールを作成し、組織単位で共有しましょう。従業員の入社後すぐに研修を行い、周知徹底を図る方法もおすすめです。
まとめ
今回は、エプロンの正しい着方とエプロン紐の結び方を紹介しました。食の安全や従業員のモラルに社会的な関心が集まる現在、一人ひとりが身だしなみに対する意識を高く持ち、職場改革を進めることが繁盛店を作るコツです。
エプロン紐の正しい結び方を習得し、身だしなみを整えることは、今日や明日の業務からでも実践できます。お客様から高い評価を受ける従業員として活き活きと働くためにも、自分自身の身だしなみを今一度見つめ直し、清潔感や信頼感ある服装を徹底してみましょう。
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